オンラインでカラオケを120%楽しむ技術(後編)

はじめに

sheeta-mm.hatenablog.jp

本記事は後編です。前編の記事を先にお読みいただくことを推奨します。

前編ではSYNCROOMでカラオケをするための基本的な方法について説明しました。本記事はその応用編として、オンラインカラオケならではの楽しみ方を書いていきます。

SYNCROOMの音を配信に乗せる

SYNCROOMで歌っている様子をYouTubeニコニコ生放送で配信したいと考える方もいると思います。

この場合、配信ソフト(OBS StudioやN Air)で音声のソースとしてYamaha SYNCROOM Driver (WDM)を選びます。前回のSYNCROOMインストール時に「標準」構成でインストールしていれば、Yamaha SYNCROOM Driverが音声ソースとして選べるはずです。以下の画面はN Airを用いた場合の一例です。

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ただここで問題なのは、Yamaha SYNCROOM DriverはASIOで音を出しているわけではないので、200ミリ秒~300ミリ秒程度の遅延が発生する点です。これは例えば配信にSYNCROOMの音声と別の音声(音源など)を一緒に乗せたい場合に問題となります。この場合、配信ソフトの音声設定で遅延に対応してあげる必要があります。

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ボイスチェンジャーとSYNCROOMを組み合わせて使う

最近のカラオケ機にはボイスチェンジャーボイチェン)機能を持ったものが多くあり、例えば男性の声を女性的な声に変換して歌ったりできます。オンラインカラオケでもボイチェンを使ったカラオケが可能です。それも、リアルカラオケよりもはるかに高い水準のボイチェンを追求することができます。

ボイチェンの世界は非常に奥が深く、詳しく書こうとするととても一記事で収まるものではありません。ハードウェア・ソフトウェアそれぞれに実現手法がいくつもあり、合う・合わないも人それぞれです。そのためボイチェンの方法論については割愛して、本記事ではSYNCROOMとボイチェンを併せて使う方法を記します。

ハードウェアボイチェンの場合

ハードウェアボイチェンとSYNCROOMを併せて使うことはハードウェアがASIO対応であれば難しくありません。オーディオインターフェースの代用としてハードウェアボイチェンを使用し、ハードウェア上でピッチやフォルマントをいじってあげればいいだけです。遅延を気にする必要もありません。

ハードウェアボイチェンのASIO対応状況については情報がかなり限られているのでそこを見定めるのは苦労します。参考までに、人気のハードウェアボイチェンであるVT-4にはASIOドライバが提供されています。

ただし、ボイチェンカラオケの初手でVT-4を買うのは個人的にお奨めできません。価格が高騰している上VT-4特有の癖もあるので博打の要素が強くなってしまうためです。多少手間はかかりますが後述のソフトウェアボイチェンを試してみて、納得できない場合に初めて選択肢に挙げるくらいで良いと思います。

また、ハードウェアがASIO非対応であっても別途ASIO対応のオーディオインターフェースを使い、上手いこと接続してあげれば対応できる場合もあるようです。ただ、自分の環境で試したことがないので詳細は不明とさせてください。

ソフトウェアボイチェンの場合

ソフトウェアボイチェンの代表的な例として「恋声」や「バ美声」がありますが、SYNCROOMカラオケでは使えないものと思ってください。

というのも、ASIOでソフトウェアボイチェンの声をSYNCROOMに送る方法は今のところDAWからSYNCROOMをVSTモードで起動し、VSTプラグインで加工した声をSYNCROOMに送る方法しかないからです。

DAW (Digital Audio Workstation) というのは音楽制作等に使われるソフトウェアで、さまざまな方法で音を録ったり加工したりするのが仕事です。

VSTプラグイン (VST = Virtual Studio Technology) というのは「音を加工するための方法をパッケージにまとめ、さまざまなDAWで利用できるようにしたもの」という言い方ができます。(音楽制作の場面ではこの定義に入らないVSTプラグインも登場しますが、ボイチェンだけを考える場合このように理解しておけば問題ありません。)

このVSTプラグインの中にボイチェン機能を搭載したものが数多くあります。たとえば私が使用している「RoVee」はほぼ遅延なく声を変換してくれます。

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ほかにもボイチェン用のVSTプラグインはありますが、遅延が気になるものも存在しており、選定はいろいろな情報を集めて試行錯誤するしかありません。

REAPERとRoVeeの導入方法

「で、具体的にどうすればいいの」という話ですが、DAWVSTプラグインも数多存在する以上ひとまとめに「これ」と言うことはできません。本記事では私が使っているDAWの「REAPER」とボイチェンVSTプラグインの「RoVee」を使う際の導入方法を軽く説明します。

REAPERは60$の有料ソフトですが、60日間の無用試用期間があります。

REAPERのダウンロード・導入

公式サイトからREAPERをダウンロード・インストールします。

www.reaper.fm

その後REAPERを起動し、メニューのOptions -> Preferencesを開き、左側の設定項目からPlug-ins -> VSTと選んでいきます。

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VST plug-in paths」の中に「C:\Program Files\Common Files\VST3」の記述が含まれることを確認したらいったんREAPERを閉じます。

RoVeeのダウンロード・導入

公式サイトからRoVeeをダウンロードします。

www.g200kg.com

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ダウンロードしたzipファイルの中にRoVee.dllがあることを確認したら、RoVee.dllを先ほどの「C:\Program Files\Common Files\VST3」にコピーします。これでREAPERからRoVeeを使えるようになります。

Syncroom vst bridgeの導入

SYNCROOMをダウンロードした際のzipファイルを開きます。(残っていなければ再ダウンロードしてください。)その中に「VSTPlugins」というフォルダがあるので開きます。

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この中にある「syncroom_vst_bridge_x64.dll」を「C:\Program Files\Common Files\VST3」にコピーします。これでREAPERからSYNCROOMを開くことができます。

オーディオデバイスをASIOに設定

REAPERを再度開きOptions -> PreferencesのAudio -> Deviceを開きます。Audioという選択項目を「ASIO」に変更します。

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大体の場合はこのままOKすれば良い感じの設定になります(エラーが起こると厄介であるともいう)。

VSTプラグインをトラックに追加

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REAPERの上記部分ある「FX」という小さいボタンをクリックします。表示された画面の左下「Add」ボタンをクリックします。

表示された画面のFilterにroveeと入れると「VST: Rovee」が引っかかりますのでこれを選択してAddします。同じようにFilterにsyncroomと入れて、「VST: Syncroom vst bridge」をAddします。すると自動的にSYNCROOMがVSTモードで開きます。(画面右上に「VST連携中」と表示されます。)

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ここまでの手順でとりあえずソフトウェアボイチェンの声をSYNCROOMに送ることができるようになります。RoVeeの設定画面でピッチやフォルマントをいじって良い声になるように調整しましょう。

詳細な部分をかなり端折りましたので、本手順でエラーが起こった際などはエラーメッセージで検索をかけるなどの対応をお願いします。また、公式のマニュアルが詳細に触れているので、一度目を通しておくと良いでしょう。

syncroom.yamaha.com

VRとSYNCROOMを組み合わせて使う

はじめに言わせていただくと、VRとSYNCROOMの相性は抜群に良いです。SYNCROOMでお互いに接続しながらVRコミュニケーションツールでお互いが同じ空間に入れば、そこはもうカラオケルームです。ここでいう「VRコミュニケーションツール」は、VRChatまたはバーチャルキャストを指すものと思っていただければ良いです。(clusterでもたぶん同じことができますが、自分で試したことはないです。)

VRChatやバーチャルキャストといったVRコミュニケーションツールでも、音声チャットの部分だけを見ればDiscordなどの一般的なチャットツールと違いありません。すなわち、多少の遅延が起こるということです。VRコミュニケーションツールで標準提供されている音声チャット機能を無効にして、音声はSYNCROOMでやり取りするようにすれば、この問題は解消されます。

ただしこの場合、あらかじめSYNCROOMで接続した人同士でしか会話ができなくなりますのでご注意ください。(VRChatで知らない人がjoinしてきた場合や、バーチャルキャストで予期しない人が凸してきた場合に対応できないということです。)

バーチャルキャストでSYNCROOMカラオケ企画を実施されている方がいますので、そういった企画に参加してみると良いでしょう。

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おわりに

本記事では前回より応用的なSYNCROOMの使い方を説明しました。私は本記事で紹介した3手法を同時に使っていたりするので、応用的というより変態的と言っていいかもしれません。

本記事で紹介した使い方はどれも、手順が一筋縄ではいかないという欠点がありますが、それを上回る分の楽しさを見出だせるものだと思っています。ぜひオンラインカラオケの世界に足を踏み入れていただきたいと思います。

私は「Vキャスカラオケ部」というDiscordサーバに参加しています。ここでは、バーチャルキャスト使用者を主な対象とし、オンラインカラオケを楽しむために活発な情報交換が行われています。ぜひ興味が向いたら参加いただきたいと思います。